時系列分析の利点としては、自分の会社のことなので,比較分析するためのさまざまな基礎資料が整っており、分析によって,有益な結果が得られやすいということが挙げられる。教科書でよく薦められている他社比較(ベンチマーキング)は,他社の実態がわからないことが多いので,結論は、推測の域を出ないで終わってしまうことが多いのとは好対照である。
たとえば、売上維持に追われて薄利多売に陥り、在庫も膨らみ、資金難に陥っている会社を想定しよう。価格競争に追い込まれ、粗利が低くなり、会社の財務が追い込まれてしまうのはよくある倒産劇である。
時系列分析では早い段階で問題点を明瞭に把握できる。薄利多売によって何とか売上額だけは維持したのだが,売上総利益が低下し,商品を絞り込めずに多品種の低価格面品にも手を出したために在庫投資も膨らんでしまう現象が時系列分析では手に取るように把握できる。粗利率の低下と、在庫の増加、借入の増加としてすぐに認識できるのだ。
人件費の分析も時系列でみると、すべてが明らかとなる。たとえば、年功的な賃金制度をとっている等の理由で,時の経過に応じて人件費が増加し,収益の悪化に拍車をかけている会社を想定してみよう。人件費が足をひっぱっている状況は、時系列でみれば明瞭に把握できる。こういった会社では、売上の増加率よりも、人件費の増加率の方がはるかに高いだろう。
時系列分析は、問題点をより鮮明にしてくれるし、その問題が会社の収益にどれだけの負担をもたらしているかを教えてくれる。
